◍ 2000年 夏 『ニューヨークで個展』 をしたい
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と思い立ち でかけた。 |
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エンパイア:ステートビル より マンハッタンを望む |
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知人もいない、あてもない24日間 真っ先に向かったのは美術学校 |
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「The Art Students League of New York」 |
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◍ 受付嬢に ガイドブックと 地図をもらった。
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これを片手に 毎日、マンハッタンのギャラリーを ひたすら廻った。 |
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◍ 「個展したいのですが~」 (恥) 何回言ったことだろう。 |
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◍ 「ニューヨーク」は 想像をはるかに超えた、
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圧倒的な スケールの 『アートの街』 であった。 |
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美術館の数は100、ギャラリーは エリアごとに 数え切れないほどあるのだった。 |
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◍ 最後の覚悟をきめて、 チェルシーのギャラリーに向かった。 |
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あきらめかけた 帰国寸前のときである。 |
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おそるおそる 丸筒に入れた 「男シリーズ」 の作品と、 ポートフォリオを見せると |
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◍ 『木版画の個展は、いままで企画したことがない』
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オーナーの女史はそういった。 |
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このひと言で、ジャスト NYの個展が決定したのだ。 |
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ラッキーだった。 |
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◍ 同じ年、2000年の 秋。 |
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声がかかり 再び ニューヨークに旅立った。 |
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ブルックリンで開催された 「ジャパニーズ・アーティスト・ショウ」 に参加、
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「ヌード作品」 の新作を 3点出品。 |
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ニューヨークの重鎮 左から 飯塚国雄先生と 木村利三郎先生 |
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◍ WILLIAMSBURG ART & HISTORICAL CENTER |
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美術館に 作品1点が買い上げられ |
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収蔵品 (パーマネント・コレクション) となった。 |
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「WAHC」の館長の二居裕子さん(和服)と ディレクター 金井さん |
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WILLAMSBUGR ART & HISTORICAL CENTER |
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ここでは、ニューヨーク在住の 先輩作家の先生方と 知りあい アドバイスをいただく。 |
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とりわけ、彫刻家 斎藤誠治先生には心のこもった激励をうけた。 |
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◍ 2001年 9月11日 『ニューヨークで同時多発テロ』 |
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一ヶ月後 10月にニューヨークに出発。 |
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個展開催は 決まっていた。 |
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NYで 炭疽菌がふりまかれる 「テロ」 が報じられている最中だった。 |
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調達した 抗炭疽菌の 「アンソロックス錠剤」 を胸のポケットに入れた。 |
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「行ってらっしゃいませー」 2列に並んだ スチュワーデスさんに |
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見送られ機内に入ると 乗客は ほとんどいなかった。 |
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◍ 到着した翌日に 「世界貿易センター」 の爆心地に直行。 |
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鼻をつく焼けたガスのにおいが充満していた。 |
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規制線の張られたむこうには 崩れたがれきが、 |
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もうもうと白煙をあげていた。 |
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思わず両手をあわせた。 涙があふれ出て 止まらなかった。 |
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2977人 (そのうち日本人24人) 若いエリ-トが犠牲になったのだ。 |
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突然おそった悲劇に、星条旗をかかげ |
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一丸となっている NY市民の姿に感動した。 |
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◍ 『ネバー・ギブアップ』 (絶対に 降参しない) |
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◍ 『ポジティブ・スインキング』 (前向きに考える) |
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互いを励ましあう言葉は 今も、私の心に深く刻みこまれている。 |
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◍ 個展 CAELUM GALLERY 10月30日~11月10日 |
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『ニューヨーク チェルシー』 での 初めての個展の レセプションには |
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思いがけないほど 大勢の人が 駆けつけてくれた。
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「こんな時期に よく個展を開いてくれましたねー 」 |
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ねぎらいの言葉とともに 握手ぜめにあった。 |
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画廊からは シャンパンが振る舞われた。 |
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◍ 目の肥えたニューヨーカーに フレンドリーな言葉がけをもらった。 |
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「トレド」 (木版画) は 具象だけどコンテンポラリー・アートである。 |
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大きな作品をみて 元気をもらったよ。 |
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「男シリーズ」 は体臭を感じさせる彫りで ユニークな作風だ、 |
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などと 率直な感想をフランクにいってもらい 感無量だった。 |
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◍ 個展 MICHI NEW YORK GALLERY |
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10月29日~11月24日 |
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(セントラルパークの右横、アッパーイーストで ギャラリー結さんの企画により チェルシーと同時開催となった) |
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オープニング・レセプションは 華やかだった。 |
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画廊主 ミチさんの女性ファンがたくさん来場した。 |
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赤ワインで乾杯! |
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◍ ここでは 「女シリーズ」 の作品は |
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初めて見た オリジナルだと 評価され、 |
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複数のコレクター が現れたりしたことが ハッピーだった。 |
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◍ ニューヨークでの個展は その後 |
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ミッドタウン (5番街とブロードウエイの間) を含めて |
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合計6回 開催することになる。 |
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